実は、このような山一の違法行為を、当局は知っていた可能性がある。

 前出の資料によると、91年に当時副社長だった三木淳夫は、大蔵省で証券局長の松野允彦に面会している。三木の記憶によれば、そのとき松野はこう言ったという。

「東急百貨店からの飛ばしの依頼をどうするのですか」。三木が、担当ではないのでよく分からないと答えると「大和(証券)は海外に飛ばすみたいですよ」との答えが返ってきた。

 証券会社の飛ばしを当局が黙認しているように聞こえる。少なくとも三木はそう理解し、その後も飛ばしを続け、山一の簿外債務は雪だるま式に増えていったのである。

 当局の黙認の下、ニギリ・飛ばしという違法行為を会社ぐるみで行っていた山一は、97年11月24日、2600億円を超える簿外債務を抱えて自主廃業した。

森永卓郎氏の予言通り
年収300万円時代が到来

 山一・拓銀破綻からの「失われた20年」で、日本は何を失ったのか。経済アナリストで獨協大学経済学部教授の森永卓郎氏が語る。

 私が2003年に『年収300万円時代を生き抜く経済学』を出版しベストセラーとなった際、周囲からは「そんな世界はあり得ない」など批判の声も少なくありませんでした。

 ですが、直近の国税庁の民間給与実態統計調査を見ても分かるように、日本の所得階層で一番多いのは、年収「300万円超400万円以下」なのです。ほぼ並ぶ形で多いのが「200万円超300万円以下」。年収の中心はまさに300万円になっているわけです。

 一方で日本企業の動きを見ると、内部留保が大量にため込まれている。資産価値が高まるので、株価が上がるのは当然です。何が問題かというと、第2次安倍政権の約5年間で実質賃金は3%下がっているのです。

 これは、働く人の給料を抑えて利益を膨らませているにすぎない。というのも、役員報酬は今や利益連動報酬とストックオプション(株式購入権)が中心。利益を増やし、株価を上げることが大事なので、従業員の給料を引き上げようとは考えないのです。このままいけば、「超格差社会」にならざるを得ないでしょう。

 足元は株高基調ですが、私は東京五輪までに不動産バブルがはじけるとみています。都心部は明らかにバブル状態です。不動産投資家が痛手を被ると、彼らは手持ちの株を売り、損失の穴埋めに走ります。すると、株価にも売り圧力がかかります。