次世代電力計「スマートメーター」をめぐり、東京電力ホールディングスの子会社と工事業者との間でトラブルが発生している。その元凶は、東電子会社による営業妨害にある。新経営体制が発足した東電は、稼ぐ体質への転換を標榜しているが、そんな理想とは懸け離れた、身内に甘い企業体質が明らかになった。(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男、堀内 亮)
家庭用「スマートメーター」の設置工事をめぐり、工事を請け負う業者と発注元の東京電力パワーグリッド(東電PG。東京電力ホールディングス〈HD〉の子会社)との間でトラブルが発生し、法廷闘争へ発展する事態になっていることが、本誌の調べで分かった。
節電の切り札とされるスマートメーターとは、次世代電力計のこと。通信機能が搭載され、電気使用料の自動検針や、使用電力量のリアルタイムでの把握が可能だ。
東電は2020年度末での工事完了を目指し、14年度から従来型メーターをスマートメーターに切り替える工事を開始。17年2月末時点で管内の約2700万件の工事のうち、1000万件を終えた。
トラブルの相手は、その切り替え工事を担っていたエスプールエンジニアリング(SE社)。同社は20年度まで拡大する工事需要を取り込もうと、14年秋に工事業務への新規参入を決定した。
15年2月、東電PGが実施した業者選定の入札に応札し、北関東や静岡県エリアにおける工事を落札した。同年夏から、SE社は正式に工事業務を開始していた。