放っておいても問題を解く方法を見つけ出す
立三さんは、その質問を待ってたぜ、という感じで目を輝かせ、話し出した。
人間というのは、成功のイメージを強く持つと、自然にそれを達成しようと心身ともに働き始める。
そして、そのイメージが強ければ強いほど、具体的に行動する。
だから、イメージを自分自身に植え付けることが大切なのだと言う。
さらに、成功イメージを植え付けるには、人間の五感の中で、性器の次に敏感な口を使うのがいいそうだ。
ピーナッツを見て視覚、手で触って口の中で感じて触覚、口に投げ込む前に嗅覚、舌の上で味覚、そして、ピーナッツを食べる音が頭蓋骨に響き、聴覚を駆使して脳みそに伝えることが効果絶大なのだそうだ。
「ピーナッツを毎晩、1粒食べることは、やる気になれば誰でもできるやろ。その誰でもできることを続けるのが、じつは難しいんや。それに、SF小説の父と言われるジュール・ヴェルヌも『人間が想像できることは、必ず人間が実現できる』て言うてるんやけどな、全てはイメージすることから始まる。寝る前に持ったイメージは朝まで、リラックスして眠る脳に残る。そしたら、放っておいても問題を解く方法を見つけ出すように意識が働くんや」
立三さんは一気にまくし立てた。
「なるほど。やってみます」
立三さんはしゃべり疲れたようで、「寝るわ」とボソリと呟いて目を閉じた。
(つづく)
作家、映画監督、経営コンサルタント 1966年、京都生まれ。京都大学経済学部卒業。(株)電通を経て渡米し、カリフォルニア大学バークレー校にて経営大学院にて修士号(MBA)取得。シリコンバレーで音声認識技術を用いた言語能力試験などを行うベンチャー企業に参加。大学院在学中にアソシエートプロデューサーとして参加した短編映画『おはぎ』が、2001年カンヌ国際映画祭短編部門でパルムドール(最高賞)受賞。帰国後、経営コンサルティング会社を経て、(株)Good Peopleを設立。キャラクターの世界観構築など、経営学や経済学だけでなく、物語生成の理論、創造技法や学習技法を駆使した経営支援、経営者教育を手がけている。著書は、『プロアクティブ学習革命』(イースト・プレス)、『次世代へ送る〈絵解き〉社会原理序説』(dZERO)ほか。映画は、初監督作品の長編ドキュメンタリー『AGANAI』の公開に向けて奮闘中。京都在住。