「いいね!」の数稼ぎに走る企業に
広告業界自主団体が“待った”

 人気SNS、Facebookで懸賞やコンテストを使い企業ページの「いいね!」ボタン(英語版では”Like”)を押してもらい、消費者を集めるプロモーションが日本でも盛んになっている。この手法は、”Like”を入り口にすることからアメリカの広告業界ではLike-gatingと呼ばれている。

 11月7日、アメリカ商事改善協会(BBB)傘下の広告業界自主団体、全国広告審査局(NAD)がこのLike-gatingに関する一種のガイドラインを示し、注目を集めている。これはメガネやコンタクトレンズを販売するコースタル・コンタクツがFacebookで行ったキャンペーンに対して、同業の1-800コンタクツがNADにクレームを出し、NADがその調査結果と勧告という形で発表したもの。

 コースタル・コンタクツはキャンペーンにおいて「このページの『いいね!』を押そう。そうすれば無料でメガネが一組貰えます」というコピーを使ってキャンペーンを行っていた。しかし実際にはメガネの種類や数の限定、発送料の負担などの追加条件があり、しかもそうした事柄が「いいね!」を押した後でないと表示されないようになっていたことが問題だと指摘された。これに対しNADは今後のキャンペーンでは「いいね!」ボタンを配したページ内にそうした条件の全てを表示するようにすべきだとし、さらに文字のフォントを大きくするなど目立つようにするべきだとしている。

 また、コースタル・コンタクツはこのキャンペーン・ページで押された「いいね!」の数を同社を支持する消費者の数だとして投資家や報道機関向けのリリースに掲載したが、この点にもクレームがつけられた。NADは企業のFacebookページに対する「いいね!」はそのブランドが好まれている印象を与えるが、実際には無料賞品や懸賞への参加目的だけに「いいね!」が押されているだけかもしれず、紛らわしいとしている。

 さらに「コンタクト・レンズを70%以上割引」というコピーに対しても、市場価格の変動から「70%」というフレーズは使うべきでないとした。