留岡常務は「向こうで(300形や500形が)使われなくなったときは、若い人の教育に使えないかと、かねがね考えていた」と話す。

 現在の電車は機器類の電子化が進み、その構造も複雑になっている。これに対して500形のような古い電車は、構造が比較的シンプルだ。電車の仕組みやメンテナンスの仕方などの基本を学ぶためには、うってつけの“教材”といえるのだ。

 プロジェクトチームの谷平賢一さんと才口翔也さんは「今の電車はメンテナンスフリーが進んでいる。(故障したときは)部品をメーカーから取り寄せて交換して終わり。部品一つひとつの中身や構造を考えなくても解決してしまう」と語る。

留岡常務(中央上)とプロジェクトチーム。メンバーの多くは500形が丸ノ内線を走っていた時代を知らない若い世代だ Photo by Y.K.

「この電車(500形)はそういうわけにはいかない。実際に分解してみて、どこが悪いのか考えながら修理しなければならない。考える力が養われたと思う」

 谷平さんと才口さんは部品の重さにも驚かされたという。

 例えば、ブレーキ装置に使われている一部の部品の場合、今の電車は「片手でも持てる」くらい。これに対して500形のものは「鉄の塊。一人ではとても持てない」。実際、1両の重さは500形が約35tだが、現在の02系は約23~31tに抑えられている。

 鉄道車両は通常、軽くすればするほどレールへの負担が少なくなり、保線作業が軽減される。電力消費も減り、維持費も節約できる。そのため、鉄道車両製造の世界では車体をアルミ合金にしたり、機器類の電子化で部品を小さくするなど、軽量化のための技術開発が絶え間なく続けられている。プロジェクトチームの若い面々は、そうした軽量化の歴史も体感できたのではないだろうか。