その子たちの暮らし・育ち・学びを支えることだけでも、重大かつ長期にわたる事業だ。さらに、高齢化も進む。2010年、すでに約35%だった高齢化率は、2015年には約38%に達している。

 全員が社会的弱者となった東日本大震災から、もう6年8ヵ月が経過する。陸前高田市の生活保護は、今、どうなっているのだろうか。

大震災後に生活保護世帯は減少
義援金で「脱却」した人も

陸前高田市の生活保護世帯数推移(2010年-2017年)。全体が減少する中で、高齢者世帯数はほぼ変動がない
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 2010年、陸前高田市の生活保護世帯は120世帯だった。全世帯数は約7800世帯であったから、世帯保護率は1.5%だったことになる。同年、全国平均は約2.9%であった。

 2017年現在、陸前高田市の生活保護世帯は76世帯、うち60%は高齢者世帯だ。世帯保護率は1.0%、全国平均は約3%だ。

 保護率が低い原因として考えられるのは、まず、先祖代々の持ち家に居住している人々が多く「住」は確保できていることだ。また半漁半農の土地柄、作物の贈答が盛んに行われているため、文字通り「食べるには困らない」ということが多い。加えて、自家用車なしには生活が成り立ちにくい地域でもあるため、「車か生活保護か」の究極の選択になりやすい。

 2010年から2011年にかけ、陸前高田市の保護世帯は120世帯から88世帯へ、保護人員は175名から118名へと大きく減少している。「減少」には、震災犠牲者や義援金による生活保護脱却事例が含まれている。義援金は、自立更生計画書を提出すれば収入認定(召し上げ)されないのだが、混乱の中で、その手続きができなかった保護世帯もあったようだ。

 震災前の陸前高田市では、120世帯の生活保護世帯に対し、2名のケースワーカーと査察指導員1名の合計3人が生活保護業務にあたっていた。「保護世帯80世帯ごとにケースワーカー1名」という法の規定が守られていたわけだ。しかし東日本大震災により、ケースワーカーの1名が犠牲となった。