社会保障と税の一体改革によって
高齢者の医療費負担は変化する可能性も

 現在、「社会保障と税の一体改革」の法案提出に向けた話し合いが大詰めを迎えている。医療分野では高額療養費の見直しがひとつの課題となっている。高額な医療費がかかっている中低所得層を救うために、高額療養費の自己負担限度額を引き下げることが検討され、その財源として医療機関を受診した患者から一律に100円を徴収する案、政治的理由から現在1割に据え置かれている70~74歳の窓口負担を法定割合の2割にすることなどが提示された。

 こうした案には政府・民主党のなかに根強い反対があるため、今回も引き上げは見送られるだろうというのが大方の見方だ。しかし、万一70~74歳の医療費の窓口負担が2割に引き上げられることが決まれば、現在は据え置かれている高額療養費の自己負担限度額も法定通りに引き上げられることが予想される。そうなれば、世帯合算をしても医療費の負担は今よりも増え、不幸にして病を得た人に負担を押し付けることになる。

「高額療養費」「世帯合算」という制度があったとしても、困っている人が救済される仕組みでなければ意味がない。本来、病気やケガで困っている人の医療費は、保険料や税金で国民みんなで支えるべきもののはずだが、財源不足を理由に議論は停滞したままだ。負担増に異議を唱える団体は多いが、制度をきちんと機能させるための保険料や税金の増額まで認めることはできないのか。大胆な発想の転換が必要なときに来ているのではないだろうか。