吉祥寺「小ざさ」の行列が
「ホワイト」を生む
吉祥寺「小ざさ」社長の稲垣篤子氏が著した『1坪の奇跡』では、障がい者の従業員を受け入れ、活躍する過程が描かれている。
それを可能としているのも、利益がしっかり出ているからであって、正直、生まれたてで、どう進むかもわからない企業に同じことができるとは思えない。たとえ、そうしたかったとしてもだ。
40年以上行列が途絶えたことのない、吉祥寺「小ざさ」であれば、従業員に対して十分な待遇ができることは想像に難くない。
なぜなら、「幻の羊羹」という圧倒的な「ブランド」と40年以上途絶えない行列という実績は、「広告」「営業」「PR」を不要とさせる。
コンテンツ(商品・サービス)の質を究極までに高めてマーケティングを優位に進めるという「コンテンツ主義」の理想形を、吉祥寺「小ざさ」は実現しているのだが、不要となったマーケティング経費は、「利益」へと転換される。
こうなれば、実に、強い。
「利益」をお客さまへ分配するとなれば、「価格」を低価格に据え置くこともできるし、従業員の給与に振り分けることもできる。
また、「広告」「営業」「PR」のコストは、なにも、費用ばかりではない。人的工数もかかるので、これが不要となれば、同じ利益であっても「やらなければならないこと」が激減する。
同じ戦力であれば、早く帰ることも可能となるだろう。
つまり、「コンテンツ主義」を突き詰めて、多くの「利益」を担保し、またそれをさらに推し進めて「ブランド」を形成するまでに至ると、理想的な「働き方革命」を実現することができるということだ。