「ネット中立性」に関する
パブリックコメント欄が炎上

 昨年の大統領選以来、「フェイクニュース」問題に注目が集まっていたが、今度は「フェイクコメント」騒ぎが起こっている。

 フェイクニュースは、事実のふりをして間違った情報を伝え、世論を操作したり社会を分断させたりしたと批判された。民主主義の一翼を担うジャーナリズムをコケにした出来事だ。それに騙された人々も多かった。

 フェイクコメントは、国が行う規制化に対して広く国民の意見を募集するパブリックコメントの場で起こっている。同じく民主主義を守るはずの手段が、乱用されている状態だ。

 フェイクコメントが集まっているのは、中立性規制撤廃に関して国民の意見を集めるために開設されているFCC(連邦通信委員会)のページだ。

 ネット中立性とは、大手通信会社がコンテンツの内容やコンテンツ出版社によって通信速度を操作したり、課金したりしないようにすることで、オバマ政権時代の2015年に中立性を守るための規制が成立した。

 ところが、トランプ政権に入って就任したアジット・パイFCC新委員長がその撤廃を掲げ、「オープンなインターネットには賛成している。規制をライトタッチにするだけだ」という声明と共に4月に新ガイドラインを出した。

 新案に対する可否を決める最終的な投票は、FCCの委員によって行われるのだが、5月から90日間にわたってパブリックコメントを受け付け、FCCはそれを鑑みて最終決定をするということになっている。

 5人の委員のうち委員長を含めた3人までが共和党派のため、撤廃される可能性が高いのだが、これまでもパブリックコメントの圧力によって予定されていた政策が覆されたこともある。今年5月以降、ネット中立性規制は、オープンで平等なインターネット空間を守りたいという人々と、規制を最小限に止める小さな政府派の、そして民主党対共和党の戦いになっているのだ。

 そこで、フェイクコメントだ。