弁護士会も不要!?
不満をためる弁護士たち

 さらにラディカルな弁護士になると、「性犯罪や横領はもちろんNGですが、顧客のために敢えてルールを冒した、というような懲戒なら、むしろ“勲章”ですよ」と話す。この弁護士は懲戒処分歴が2回あるが、処分理由をきちんと顧客に伝えたことで、逆に顧客が増えたのだという。

 過去の事例を見てみれば、たとえば、訴訟時に相手方に暴言を吐いたなど、「依頼人のために無理をした」がための懲戒処分例も、確かに見受けられる。

 今後も、自力で顧客を開拓できる、言わば「経営センス」のある弁護士を中心に、既存のルールにとらわれない動きがますます増えていくだろう。そして、前出の50代弁護士は、「もはや、弁護士会など意味をなさない」とし、次のように語った。

「もう弁護士会などなくして、弁護士は国に直接登録制にしてしまえばいい。弁護士会は強制加入ではなく任意団体とすれば、処分などはなくなります。確かに横領はよくないですよ。でも、その横領をした弁護士も含めて年配の弁護士ほど、実は、依頼者と向き合ってきたのが事実です。重すぎる弁護士の権威を崩したほうが、実は、市民に寄り添った司法が実現できるのではないでしょうか」

 金儲けを軽視し、ひたすら依頼人のためを貫くという「弁護士ムラの掟」に従えば、確実に食えなくなる――そんな不満の矛先が、弁護士会や弁護士自治に向いているのだ。

 そもそも弁護士自治とは、戦前の暗い時代、国にとって都合の悪いことを言う弁護士に対して、国が監督権を振りかざして縛ったという、苦い経験の反省から生まれたものだ。それを否定する弁護士が多数登場すれば、現行の司法のあり方は崩壊してしまうだろう。

 そしてもし、司法が悪しき方向に変わっていけば、戦前のように、私たち市民の権利が時として守られないという恐ろしい事態にもなりかねない。

 食えない弁護士の急増は、日本の司法を揺るがすほどの大問題に発展する可能性を秘めているのだ。