世界初!日本発の
抗菌・抗ウイルスガラス
特に、可視光下ですぐれた抗菌・抗ウイルス活性を示す光触媒材料として、酸化チタンと銅イオンクラスターを組み合わせた材料が開発されています。
さらに、驚くべきことに、銅イオンの価数(元素の原子価を表す数値)をコントロールすることによって、光のない暗いときにも抗菌・抗ウイルス活性を発揮させることのできる材料ができており、この分野のブレイクスルーのひとつとして注目されています。
実験室レベルでは、ガラス面に付着する感染力のあるウイルスが光の当たらないところでも、1時間で4桁(99.99%)減少、可視光を当てた場合には7桁以上のウイルスが不活化することがわかっています。
こうしたすぐれた効果が確認されていることから、病院や介護施設、保育施設、公共施設など衛生的な環境が求められる場所への導入が進むものと期待されています。
製品としては、日本板硝子の「ウイルスクリーン」が世界初の抗菌・抗ウイルスガラスとして発売されています。
さらに、このタイプの新しい光触媒はガラスのみならず、ドアの取っ手や手すりのように、不特定多数の人間が触れる感染拡大のリスクが高いところへと応用が進んでいくでしょう。
光触媒を発見して今年で50周年。いまや東海道・山陽新幹線の光触媒式空気清浄機、成田国際空港の光触媒テント、パナホームの一戸建てからクフ王の大ピラミッド、ルーブル美術館、国際宇宙ステーションまで、その活躍の場は多岐に及んでいます。
本書には、その基本から最新事例まで140点以上の図表と写真が掲載されています。ぜひご一読いただければと思います。
東京理科大学学長
1942年生まれ。1966年、横浜国立大学工学部卒。1971年、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。1971年、神奈川大学工学部専任講師。1975年、東京大学工学部講師。1976~77年、テキサス大学オースチン校博士研究員。
1978年、東京大学工学部助教授。1986年、東京大学工学部教授。2003年、財団法人神奈川科学技術アカデミー理事長。2003年、東京大学名誉教授。2005年、東京大学特別栄誉教授。2010年、東京理科大学学長(現任)。現在、東京理科大学光触媒国際研究センター長、東京応化科学技術振興財団理事長、光機能材料研究会会長、吉林大学名誉教授、上海交通大学名誉教授、中国科学院大学名誉教授、北京大学客員教授、ヨーロッパアカデミー会員、中国工程院外国院士。これまで電気化学会会長、日本化学会会長、日本学術会議会員・化学委員会委員長などを歴任。
【おもな受賞歴】文化勲章(2017年)、トムソン・ロイター引用栄誉賞(2012年)、The Luigi Galvani Medal(2011年)、文化功労者(2010年)、神奈川文化賞(2006年)、恩賜発明賞(2006年)、日本国際賞(2004年)、日本学士院賞(2004年)産学官連携功労者表彰・内閣総理大臣賞(2004年)、紫綬褒章(2003年)、第1回The Gerischer Award(2003年)、日本化学賞可(2000年)、井上春成賞(1998年)、朝日賞(1983年)など。オリジナル論文(英文のみ)896編、著書(分担執筆、英文含む)約50編、総説・解説494編、特許310編。