給与所得控除の頭打ち、
実は何年も前から実施されていた!

 新聞報道によると、今回の所得税改正案による増税の影響は以下のようになる。

 年収850万円以下:影響なし
 年収900万円:1万5000円
 年収1000万円:4万5000円
 年収1500万円:6万5000円
 年収2000万円:6万5000円
 年収3000万円:31万円
 (増税額は、所得税と住民税の合計額)

 改正案が国会で可決されると、施行されるのは2020年である(住民税は1年遅れで2021年)。

 では、いつものように「手取り」ベースで数年間の推移を見てみよう。下記は、2012年から2021年までの額面年収(900万円・1000万円・1300万円・1500万円)に対する「手取り年収」を試算したものだ。

 年収900万円と1000万円の手取り年収は、今回の改正案が実行される2020年にわずかに減っているが、微減であることが読み取れる。

 一方、年収1300万円と1500万円の手取り年収は、2020年に給与所得控除頭打ちの影響を受けて減少している。しかし、グラフをよく見ると、この2つの手取り年収は、2018年と2019年にも減少している。これは、昨年の税制改正で発表になった「高所得の人の配偶者控除・配偶者特別控除の縮小・廃止」の影響によるものだ。施行されるのが2018年と2019年からなのである。

 さらにグラフをよく見ると、年収1300万円と1500万円の手取りは、2016年と2017年にも減少している。

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 実は「給与所得控除の頭打ち」は、高年収帯では数年前から実行されていたのである。

 【給与所得控除の頭打ちの概要】
 2013年:年収1500万円超は245万円で頭打ち
 2016年:年収1200万円超は230万円で頭打ち
 2017年:年収1000万円超は220万円で頭打ち

 大きな話題になっていなかったが、サラリーマンの増税はずいぶん前から始まっているのだ。

 ここまで読むと「そんなに年収は高くないから、自分は増税の影響を受けない」と思うかもしれないが、前述のように、所得税改革は今後も続く予定である。次の段階では年収600万~850万円の中間層が増税の対象となりそうだ。他人事とは思ってはいけない。

 サラリーマンなら、給料にかかる税金の知識を身に付けて備えるべき。まずは「控除=非課税枠」だということだけでも知っておきたい。

((株)生活設計塾クルー取締役 ファイナンシャルプランナー 深田晶恵)