世界最大級のデジタル関連の展示会International CESが、米国ラスベガスで1月10日から始まった。
ケータイ産業の展示会といえば、毎年2月頃に欧州で開催される「モバイル・ワールド・コングレス」が有名だが、スマートフォン・シフトが進む昨今、その開発拠点であるシリコンバレーを擁する米国のCESでも、新製品の発表が相次いでいる。
すでにWebメディアをはじめ、新製品の報道はあちこちで行われている。そこで本連載では少し視点を変えて、CESから占う2012年のスマートフォンのトレンドを、整理しておきたい。
LTE対応の本格化
今年のCESで発表された高機能スマートフォンのほとんどは、LTE対応を謳っている。MWCも含め、昨年はまだここまでLTE一色という状況ではなかったことを考えると、これは普及に向けた大きな前進である。
LTE対応なんて当たり前ではないか――そう思われるかもしれないが、これはケータイ産業という視点からすれば、それなりに感慨深い。というのは、リーマンショック直後の2009年頃から、「次世代規格はLTE」「世界経済の回復を牽引するのはLTE投資」という声がしばしば聞かれたものの、肝心の端末がなかなか登場しない状態だったからだ。
本連載の読者であれば重々ご承知だろうが、ケータイの規格は、基地局と端末の普及がセットで揃わなければ、先に進まない。そのためにはまず基地局の敷設から進めなければならないが、ということは端末のない状態、すなわち「存在しない市場」への投資がはじめの一歩となる。
特にケータイの場合、通信規格のライフサイクルは長い。旬の期間でも10年程度、実際に規格の寿命が尽きるのは20年程度である。世界的には2GであるGSMがまだ現役だし、日本の2Gサービスが終了したのも昨年の話である。