ようやく決まった一体改革素案
前途多難は必至の情勢

 年末も押し迫って、ようやく社会保障・税一体改革・消費税率の引き上げの素案がまとまった。筆者は、年内合意は無理ではないかと思っていただけに、総理が自らの言葉で時間をかけて議員を説得し、曲がりなりにも年内に合意したことは、貴重な第1歩として、素直に評価したい。

 あくまで素案だから、法律の制定までには、想像もできないような困難が控えている。冷静に年末の出来事を振り返ると、いろいろなところで腑に落ちない決定が行われており、それが、今後国会での平成24(2012)年度予算審議、とりわけ予算関連法案を通す際の、大きな足かせとなるのではなかろうか。

 以下、今後の課題を私なりに取り上げてみたい。

奇策の交付国債まで駆使した
平成24年度予算は改革に逆行

 本来、消費税を引き上げるためには、あらゆる行財政改革をして、その努力の延長に消費税の引き上げをお願いするというのが通常のやり方だ。しかし、平成24年度予算はその逆を行っている。

 整備新幹線や外環道など、自民党時代への回帰ともいうべき公共事業の復活と、相も変わらずの、ばらまき社会保障予算である。この結果、夏に閣議決定(!)した予算のルールが守れなくなり、交付国債で年金財源をねん出するという奇策で対応せざるをえなくなった。

 オリンパスの飛ばしが問題となっている時期、基礎年金国庫負担引き上げに伴う財源手当てを交付国債で行うというのは、国家もそこまでやるのかと驚く内容だ。

 この原因は、いうまでもなく財政削減が十分でなかったことにある。そのため、そのままでは予算が組めなかった(ルール違反になる)ことが原因だ。