強くなる選手に共通しているのは「理解力」

――シビアですね。しかし、非常に説得力があると感じます。では、選抜した選手のなかで、どういう選手がさらに強くなっていくのでしょうか? コーチのアドバイスを素直に聞く選手でしょうか?

村上 ちょっと違うかな。素直というのは、僕のイメージでは、自分の頭で考えずに、言われたことをやるという感じです。それではダメですね。自分の頭で考えることができる選手でなければ、成長しないですよ。

――では、どういう選手が強くなるんですか?

村上 理解力のある選手ですね。

石川佳純、平野美宇、伊藤美誠…強い卓球選手は「理解力」が違う

――理解力とは?

村上 僕の考える「理解力」とは、何かアドバイスをされたときに、冷静に自分を振り返って、自分の頭で考えて、「なるほど、それをしなければ強くならない」と思える力です。言われたことをやるのではなく、自分の頭で「それが自分には必要だ」と思ったことをやる。これができる選手だけが強くなります。

 だって、そうでしょ? 言われたことをやるだけの選手は、監督やコーチが見ていないところではやらないかもしれない。だけど、自分がやらなければならないと「理解」したら、誰も見てないところでもやるでしょ? それが「理解力」です。

――ということは、いま活躍している選手はみな「理解力」がきわめて高いということですね?

村上 そうですね。たとえば、平野。彼女は、もともと攻撃的な戦型の選手ではなかった。しかし、リオ五輪の補欠になったときに、このままの戦型では世界では勝てないと「理解」した。もちろん、その背後には彼女のコーチたちのアドバイスがあったはずです。しかし、それを彼女は自分の頭で深く強く「理解」したんです。

 なぜ、そう言えるかというと、戦型を変えると必ず壁にぶつかるからです。実際、平野は超攻撃型のプレースタイルに変えた当初は、かなり負けました。ここが、きわめて重要なポイントなんです。というのは、本当に心の底から「戦型を変えなければ世界で勝てない」と理解できていない選手は、負けが続くと心が折れてしまうからです。

 おそらく、彼女もそれに近い感覚を覚えたことがあるんじゃないかと思いますが、それを耐え抜き、超攻撃型を貫き通して見事に自分のものにすることができた。これは、心の底から「戦型を変えなければダメだ」と理解していたからこそできたことだと思います。

――いまのお話を伺うと、「理解力」の根底には高い目標設定があるように聞こえます。なぜなら、平野選手が心の底から「世界チャンピオンになる」と思ってなければ、その苦しいプロセスを耐えきれるとは思えないからです。「どうしても世界チャンピオンになりたい。そのためには、どうすればいいのか?」と自問するからこそ、「理解力」が生まれる。つまり、強い願望が「理解力」の根底にあるということでしょうか?

村上 そのとおりですね。実際、「こうなりたい」という思いの強い選手しか、絶対に強くなりませんからね。正直に言うと、何度言っても聞かない選手もいます。親の言うことしか聞かなかったり、自分の考えに固執してしまったり……。それって結局、「ほんとうに強くなりたい」と思ってないからですよね。