今年もバレンタインデーを迎えた。今年も職場でたくさんの「義理チョコ」が配られる。女性は「渡すべきかどうか」と悩み、もらった男性側もホワイトデーで「倍返し」する経済的負担が大きい。節分の恵方巻と同様、業界側が仕掛ける「イベント」に乗せられ、消費者が振り回される時代はいつまで続くのか。そんな中、企業側も少しずつ変化が生じている。(食品ロス問題専門家、消費生活アドバイザー 井出留美)
バレンタインでも我が道をゆく
潔さのある企業
バレンタインデーを前に、ゴディバ ジャパンが日本経済新聞に掲載した「義理チョコはやめよう」の広告が話題となっている。
恵方巻の大量販売に異をとなえる広告を打ち、顧客から称賛された兵庫県のスーパー、ヤマダストアーのように、「他の大勢には与(くみ)しない」企業の姿勢が評価されつつあるのを感じる。
まさに、“バレンタイン 我が道をゆく 潔さ”という感じだが、そのような企業は少しずつ増え始めている。
たとえば「ヨックモック」だ。筆者は自宅から歩いてすぐの百貨店に行ってみた。ヨックモックは、地下一階の食料品売り場にある菓子コーナーの一角を占めている。商品群にバレンタインデー特有の彩りや華やかさはない。バレンタイン向けにラッピングされている商品が棚の上に並ぶ以外は、普段通りの品揃えだ。だからこそ、どちらを向いてもバレンタイン専用商品が溢れる中で、そのシンプルさと定番がひときわ目立っている。
公式サイトはどうだろうか。確認してみると、売り場同様、通常の商品を前面に出しているイメージだ。