FRB議長の代わり目
半年に一度の「議会証言」に注目

 通常、金融市場は、先々の経済情勢がどうなるのかを織り込みながら、日々変動しています。その中で、中央銀行の金融政策は、最も重要な変動材料の一つです。FRBは議長を中心に金融政策を策定し、同時に市場と対話を行いますが、市場はFRBからの情報発信や経済指標などの動きを基に、中央銀行の先々の金融政策を考え、それを自分たちのポジションに反映させます。

 例えば、「今、FRBが最も重視していることは金融市場の安定性だから、インフレが目に見えて上がってこなくても、マーケットが安定している間は緩やかな利上げを続けるだろう」などと考えて、投資の意思決定を行い、ポジションを決めるわけです。

 では、FRB議長が代わるとどんな影響があるのでしょうか。

 経済や金融市場に変化がなければ、FRBの金融政策に対する市場の見方は変わりません。ただし、経済指標や金融市場は、上にぶれたり下にぶれたりしながら、時には想定を超えた変動を見せます。そうしたタイミングで、新しい議長のコメントが以前の議長のコメントと異なったニュアンスを伴うと、市場は新しい議長がどういった意思決定を行うのかと迷います。

 そうした状況で、もし、持っているポジションが過大になっていれば、それを中立に戻すか、ポジションを解消するかという選択を迫られ、結果として金融相場が変調をきたすことがあります。これが、FRB議長が代わってすぐの段階で市場が荒れやすくなると、多くの人が考える背景です。

 FRBは、米国の中央銀行として金融政策を決定していますが、その決定は米経済や金融市場に大きな影響を及ぼします。そのため、半年に一度、米上下両院に金融政策に関する報告書を提出し、議長による説明を行っています。これがいわゆるFRB議長の「議会証言」です。ここでは、その時々の経済の見方や、金融政策に関する考え方が説明され、議会からの質問を受け付けます。

 パウエル新議長にとって初めてとなる「議会証言」は2月27日に下院で行われます。ちょうど金融市場が動揺を経験した直後だけに、自分の考えを議員だけでなく市場関係者に伝えるいい機会になると見られます。

 もしここで、パウエル議長が賃金やインフレの上昇について懸念していると取られるような発言を行えば、市場は今後、FRBの利上げペースが速まると捉え、市場金利が上昇し、株式が下落するきっかけとなりかねません。

 現在の米経済は、まだそういった状況には陥っていないと見られるほか、パウエル議長も軽率な発言は行わないと考えられますが、注意は必要です。