キャリアコンサルタントはこう助言する
軸が明確にならない人たちに、キャリアコンサルタントはどう対応するのでしょうか。実は、驚くほど共通の対応をしているのです。つまり、こう助言するのです。
「現時点では、転職活動はいったん諦めて、まずは今の職場で成果をあげることに取り組んだほうがいい」。
本来、キャリアコンサルタントにとって、求人にマッチングできる求職者の数は、多ければ多いほどいいはずです。それにもかかわらず、いったん転職活動を諦めろと助言するわけですから、いかに軸が明確でないことをキャリアコンサルタントが問題視しているかわかります。
それでも転職できるため、負の連鎖の落とし穴にハマってしまう
キャリアコンサルタントにいったん転職活動を諦めろと言われたら、その後、その人たちはどうなるのでしょうか。キャリアコンサルタントは、面談の時のやりとりから推測すると転職活動を継続した可能性が高いと思う、と共通して答えています。これは、面談時のアドバイスに、あまり納得した様子が見えなかったことによる推測です。
では、その人たちの転職は成立しないのでしょうか。たとえば、転職サイト、ハローワークなどのルートでは、求人企業が負担しなければならない転職時のコストは、人材紹介会社ルートと比較して低いものとなり、求職者を審査する条件もゆるくなる可能性があります。また、若手になればなるほど、特に20代においては採用条件としての賃金が低くなることが、会社側として採用に積極的になる要素になります。また着実に転職市場は拡大しています。
このような状況があいまって、転職できた可能性が高いと、キャリアコンサルタントは考えているのです。
このようにかんたんに転職できてしまうことがかえって災いし、「なんとなく」転職を繰り返すことが典型的な負の連鎖です。「なんとなく」転職回数が多い人と見なされた場合、採用選考では不利になるでしょう。
そこで次回は、この転職の失敗パターンの具体的な特徴をもっと詳しく考えてみたいと思います。
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