メーカーの採用力 待遇・人事の真実Photo:JIJI

DXをはじめとした注力領域へのリソース集中投下を進めるNEC。「選択と集中」をさらに進めるのに必要な人材を確保するため、待遇の改善や人事制度の整備を図っている。連載『メーカーの採用力 待遇・人事の真実』の本稿では、NECの人材獲得策「4本柱」を一挙公開するとともに、その狙いを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

NECが中計目標を前倒し達成! 従業員満足度も上昇
さらなる成長に欠かせないDX人材の獲得

「選択と集中」を進めるNECが絶好調だ。

 25年3月期決算は、一過性の損益を除いた営業利益が3113億円となり、25年度までの中期経営計画目標を1年前倒しで達成した。NECは、連結子会社だった日本航空電子工業の株式売却や、51%出資だったNECネッツエスアイへのTOB(株式公開買い付け)、DXブランド「BluStellar(ブルーステラ)」の発表など、注力領域への集中投入を行ってきた。一連の施策が実を結んでいるのだ。

 今後も注力領域を伸ばしていくためには、その分野に精通した優秀な人材の獲得や育成が必須となる。例えばDX分野では、23年度に約1万人だったDX人材を25年度には12000人に増やす計画だ。

 会社の成長の原動力となる人材を採用し、定着させるためには、魅力ある待遇や人事制度が不可欠だ。NECでは主に四つの人事施策を同時に進めることで、人材獲得を図っている。

 その中には、「従業員への株式報酬付与」という独特の制度もある。どのような効果があるのだろうか。

 次ページでは、NECの人材獲得策「4本柱」を解説するとともに、その狙いを明らかにする。