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シリコンバレーで考える 安藤茂彌

東大9月入学論議はコップの中の嵐
問われるべきは教育の密度だ

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第54回】 2012年2月22日
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米国からの留学生受入数は中国の6分の1
はたして入学時期だけの問題なのか

 日本の外国人留学生受け入れ状況はどうであろうか。グローバルに見ると日本は世界で8番目に多くの海外留学生を受け入れている。年間約14万人受け入れている。これは米、英、仏、中、豪、独、加に次ぐ第8位である。だが派遣国は中国、韓国、台湾に偏っている。中国からの留学生が8万6千人と全体の6割を占めている。二位の韓国(2万人)を加えると中韓両国で75%を占める。欧米からの留学生は米国からが一番多いがそれでも2300人(2%弱)である。

 では中国の受け入れ状況はどうであろうか。中国の受け入れ規模は26万人で、最大の派遣国は韓国(派遣人数不詳)である。二番目は米国で1万3000人を超えている。そして増加中である。日本への留学生の約6倍のアメリカ人が中国に留学していることになる。この背景には米中ともに9月入学であることが影響しているのかも知れない。

 東大は9月入学に変更することによって、どの国からの留学生が増えるだろうか。欧米の大学・高校は9月入学がほとんどであるから欧米の留学生は来やすくなる。中国、台湾も9月入学だから彼らも来やすくなる。逆に韓国は3月入学、オーストラリアは1月入学なので不便になる。では、入学時期の変更で海外からの留学生が飛躍的に増えるのだろうか?

 一例を挙げよう。昨年夏に知人の紹介でスウェーデン政府からの国費研修生を受け入れたことがある。シリコンバレーのベンチャー企業で実務研修を受けるために、スウェーデン政府が一ヵ月間の研修資金を出しているのだ。たまたま研修先のベンチャー企業が拙宅の近隣だったので受け入れることにした。

 私のところに滞在した留学生は父親はスウェーデン人で母親は日本人のハーフだった。日本語はペラペラ。母親の強い勧めで、高校二年生から日本の高校に編入して日本語を猛烈に勉強した。そして東大の文科II類にめでたく合格。しかし彼は一学期在学しただけで退学してしまった。そしてスウェーデンに戻り難関の医学大学に9月入学し、いまは外科医になることを目指して勉学に励んでいる。

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安藤茂彌
[トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ

シリコンバレーで考える 安藤茂彌

シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

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