今年1月10~13日、米・ラスベガスで世界最大級の家電ショー「2012 International CES」が開催された。約2700社が出展、約15万人が来場するという一大イベントであり、家電の枠組みに止まらず、自動車やITも含めた華やかなショーとなった。
その中でも、今回多くの耳目を集めたのは、タブレットやモバイル端末、そしてITと融合したテレビ「スマートテレビ」である。エレクトロニクス市場のさらなる成熟を伝えるものとして、関係者を大いに唸らせた。
では、スマートテレビとは何か? 一言でいうと、テレビとインターネットがつながった多機能テレビであり、次世代テレビの本命と目されている。限 りなくパソコンに近いテレビであり、しかも操作はパソコンより格段に簡単。そして従来のようなテレビ番組受信以外にも、映画や音楽、ゲームなどの様々なコ ンテンツを受信・ダウンロードできる上、SNSにも接続できるというものだ。
もともとスマートテレビは、サムスン電子やLG電子などの韓国メーカーが昨年頃より提唱し始めた概念。今も韓国勢の独壇場になっており、市場を牽引している。これにグーグルやソニー、パナソニック、シャープなどが追随する形だ。
たとえばパナソニックは、世界の観光名所をジョギングコースに仕立ててモニターに映すコンテンツを開発。来年度以降の商品化を表明している。シャープは、独り暮らしの高齢者を見守るテレビサービスを開発するなど、各々に注力している。このようにスマートテレビは、今後のライフスタイルそのものを変えていくポテンシャルをはらんでいるのだ。
果たして、このスマートテレビは一般に普及するのか? 家電メーカー各社のテレビ事業は不振に喘ぎ、名門・日立がテレビ事業から完全撤退を決めるなど、先行きはまだまだ不透明だ。
ある専門家は、「今後解決すべき課題は、スマートテレビというハードウェアに対して、コンテンツ業者がいかに魅力あるソフトを数多く提供し、うまくコラボレートできるかということ」と見ている。
早くもスマートテレビ戦争が勃発しそうな勢いだが、商品化も含めて、今後の動向を注目していきたい。
(田島 薫/5時から作家塾(R))