◇善行、利他行を積む

 中国の古典に「積善の家に余慶あり」という言葉がある。他人のために善い行いを重ねた家にはさまざまな福がもたらされるという意味である。しかし、よかれと思って人のために親切にしても、それがかえって自分を苦しめる結末になるということもある。借金の連帯保証人になったばかりに自分が財産を失うことになった、というのがよい例だ。

 そこで、人に何かをしてあげようとするときには、同時に小善大善についても考えなければならない。先の例であれば、借金の理由がその人のいいかげんな生活態度にある場合、「君のためにならない」と厳しく断ることこそ大善だろう。長い目で見て、本当に相手のためになることを深く考えるべきなのだ。

◇感性的な悩みをしない

 失敗したことをいつまでもくよくよ悩まないということである。当然、失敗は反省し、二度と同じ過ちをしないと決意しなければならない。しかしそれをいつまでも悔み悩むのは、心と体の病を引き起こし、人生を不幸にしてしまう。

 私たちは仕事で失敗をすると、悩んでも無駄だと頭ではわかっていながら、それでも「あれがうまくいっていればな」と考えてしまうものだ。そのようなときは、逆に自分を励まし立ち直らせることだ。そしてきっぱりと諦め、新しい仕事に打ち込むことが肝心だ。

◆著者との質疑応答
◇できないと思ってしまう自分を変えるには?

 ここでは、鹿児島大学が開催したシンポジウムにて設けられた、著者と学生たちの質疑応答の様子を一部紹介する。

質問:「思い」を強い「信念」に変えるようとするとき、ぶれてしまう自分がいる。弱さゆえにどうしても「できない」できないと思ってしまう。この感情を乗り越えるための方法はあるか。

解答: 今の時代は、豊かで選択肢が多い。だからこそ、逆にかわいそうだともいえる。しかし結局のところ、様々な選択肢はあっても今決まったことに強い信念で臨む方がいい。仕事にせよ学問にせよ、どんな世界でも成功した人というのは脇目もふらず一生懸命打ち込んだ人に他ならない。