中国政府の目指している発展は、GDPを発展の基準にせず、中高速の成長率をキープするというものだ。そのため中国政府は、今年の経済成長率を6.5%前後と設定した。

「報告」と同時に、5日に発表された「2017年度国民経済・社会発展計画の執行状況と2018年度国民経済・社会発展計画案についての報告」によると、政府が設定した成長率は、高い成長率を無理に求めず、「発展の質・効率の向上の重視」という方向性を体現しており、2020年までに「小康社会」を全面的に完成させるという目標にも合致したものであると述べている。

 現在の中国の経済成長は、4~5%が妥当という考えもあるが、中国は発展レベルにばらつきがあり、さらに人々の獲得感を強める政策を徹底させる必要があるため、この数字は高すぎる数字ではない。

 これまではGDPの拡大のみを重視して、公共投資主体の経済政策を取ってきた。だが、大型の投資を行えば生産能力の過剰を招くし、さらには債務リスクも高まるため、その手段に依存し過ぎることはできない。

 だが、前出の国民経済・社会発展計画についての報告も指摘しているように、現在は「経済成長の内生的原動力」が依然、力強くない。確かに消費は経済成長の牽引車としての役割を発揮することが期待されているが、本格的に経済成長を支えるまでにはなっておらず、まだ投資の役割は小さくない。そのためか、中国はまだ積極的な財政政策を行う方針を変えてはいない。

 現在、中国は「中所得の罠」から抜け出すために、イノベーションを新たな成長エンジンに位置付けている。今回の「報告」でも、新たな原動力として、新興産業クラスターの増大や、次世代人工知能の研究開発・実用化、「インターネット+」の促進、スマート産業の発展などを挙げている。

 もちろん、消費の拡大も重要な成長エンジンである。改革開放当初は、モノ不足の解消が重要な課題で、人々のニーズもそれほど高くなかったが、現在は4億人ともいわれる中産階級がおり、ニーズも高度化しており、最低限度の生活維持よりもさらにレベルの高いものを望んでいる。

「報告」でも新エネルギー自動車の消費促進や、中古車の販売規制の撤廃のほかに、オンラインショッピングと宅配便の発展や医療・養老・教育・文化・スポーツなどの供給拡大など消費促進に関わる政策が述べられている。