日本から離れ始める技能実習生
最大の送り出し国だった中国も忌避?

 留学生に加えて、外国人労働に関して問題視されるのが技能実習生だろう。新聞報道やドキュメンタリー番組等でも度々取り上げられているように、受け入れ企業による人権侵害や労働関連法違反などが後を絶たない。「この制度を続けることで、日本のイメージが悪化し、日本で働きたいと思う外国人が減ってしまう」という懸念もしばしば聞かれる。

 こうした懸念に関連し、法務省のデータをもとに、従来、技能実習生の最大の送り出し国であった中国に着目し、日本国内に住む中国人の在留資格別推移を整理した(図表6)。

◆図表6:在留中国人の在留資格別推移

 これを見ると、永住者、留学生、高度外国人材は増加傾向にある一方で、技能実習生だけが減少している。日本との賃金格差の縮小、中国国内の高学歴化や少子高齢化、技能実習制度が忌避されている可能性など、さまざまな要因が考えられる。
 
 現在、技能実習生はベトナムを筆頭に、東南アジア出身者の増加により全体数は増加し続けている。だが中国同様ベトナムも、経済成長や所得水準の高まりとともに、今後急速な少子高齢化が進行すると見込まれている。

 韓国はじめ近隣諸国では、非熟練の外国人労働者を適正に受け入れる制度を整えてきているなか、「実習」名目で実態は労働力を受け入れるというやり方を続ければ、将来的にはベトナム人技能実習生も減少し始めるだろう。安価な労働力の供給に頼り続ける構造自体を見直していくことが求められている。

日本は外国人なしでは立ち行かない
改めて考えたい在留資格制度の歪み

 外国人依存度の高まりから、私たちの生活は外国人労働者と無関係ではいられなくなっている。その一方、私たちの生活を支える外国人労働者の多くが、就労を目的とせず入国・滞在が認められた外国人だという実態は、在留資格制度に歪みが温存されていることに起因している。

 外国人労働者について議論すべき点は多岐にわたるが、1つは、こうした在留資格制度の歪みの適正化(たとえば、高度外国人材ではない「中技能の外国人労働者」を対象とする在留資格の新設に向けた検討など)が挙げられるだろう。

(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経済政策部 研究員 加藤 真)