日本文化の押し付けはNG
泥臭いマーケティングが必要だ

 ならば、日本料理の伝統技法は残しつつ、マレーシアならばマレーシア人の好みを反映した「伝統技法を使った和食」を提供するのが筋であるし、それが日本文化のあるべき紹介手法なのではないだろうか。

 それをするためには、マーケティングを行わなくてはならない。パソコンを前にキーを叩いて行うようなマクロなデータ分析ではない。本当に必要なのは、現地に赴き、現地の人々の話を聞き、体験してもらうという、泥臭いマーケティングだ。

 高橋氏は、すでにそのことをご存じであるように、筆者には感じられた。イベントで供された料理は、何がしかマレーシアの料理との共通点を感じられるものだったからだ。和食とはこうあるべきという硬直した概念を捨て、料理人として、学者として、その土地その文化で「お客様に喜んでもらう料理」を供するためには、どうするべきかという道を、とことん探っておられるように思えた。

 料理だけではない。アニメやデザインなど、日本発のコンテンツは海外で一定の人気を得ている。だが、現地の人々や文化に根差したマーケティングをしない限り、それは「文化の押し付け」になってしまう危険性がある。

 基本は守りつつ、それぞれの文化に合わせた「文化的チューニング」を施すことができれば、日本文化は世界中で花開くことができると筆者は信じている。