読み切る習慣を身につける
意識して速く読もうとすると、その意識を維持するために集中力が必要となります。
集中力にも個人差がありますし、本を読むことにどれだけ慣れているのかにもよりますが、1冊を読み切るとなると、読み切る前に速く読む意識が維持できない状況に直面するかもしれません。
そんな場合は逆の発想で、集中力が続くところまで速く読み、集中力が切れたら、いったん区切るようにしてみてください。こうすれば、必ず読み切ることはできます。
私の速読教室の修了生で、1日5分で一つの章を毎日読み、1週間で1冊読み切ることを習慣化している人がいました。その方が言うには、1冊ずっと速く読もうと思い続けるだけの集中力がなく、5分くらいなら集中力が続くだろうという考えから、5分間だけ速く読むことに集中するようにしたそうです。
結果的には1週間で1冊を30分程の時間で読んでいる状態となり、年間60冊以上の読書を3年以上続けることができているそうです。一つの分野で60冊の本を読めば、それなりに高い知識を得ることができるでしょう。
さらに、読書は仕事と違い、いつからスタートして、いつまでに完了させなければならないという期限がないので、速く読もうとする意識が切れるまで全力疾走し、集中力が回復したら、また読み始める、といったことを繰り返しても差し支えがないのです。
そのため、意識して速く読もうとするなかで、もし読むスピードが落ちている感じや疲れを感じた場合は、区切りのいいところでいったん休憩を入れてもかまいません。
結果的に1冊をより短い時間で読み切ることができれば、行動イメージをつくる時間も、実際のアクションを起こしていく時間もできます。
もちろん、最初はたくさん区切って読むような読み方になったとしても、徐々に速く読むことに慣れてくると、区切る頻度も減るようになります。焦らず、自分ができる範囲から着実に取り組んでいきましょう。
前半と後半を先に読む
ビジネス書の翻訳本でよく見かけられるのですが、まず先に結論の概要が書かれ、次にそれを示す具体例が提示され、最後に結論で締められる、という文章の構成があります。
このような文章を読むときは、先に最初と最後に書かれている結論を読みましょう。そして中間に書かれている具体例については、可能な限りスピードを上げて見ていくようにします。結論がわかったうえで、中間に書かれている具体例に目を通していくと、すべてを同じペースで読み続けるよりも速く読むことができるようになります。
このとき、具体例の理解は、「スターバックスを例に何かを論じているなあ」程度でいいと割り切って、可能な限りスピードを上げてみます。
そうすることで、トータルで1冊を読み切る時間を短くしていくのです。内容が具体的にわからなくても、結論部分や1冊を通して伝えようとしている考え方のイメージがつくられてくると、大枠のイメージは想像でつくることができるようになります。そのような部分で時間を稼いでいくと、速く読む癖をつけやすくなります。
もし本の構成が細かく分けられている場合は、目次から文章全体の流れや伝えたい核となるイメージがつかめるので、併せて活用しましょう。
あくまでも優先順位を、「内容を覚える」ことよりも「1冊を読み切る達成感を味わう」ことに置いて、まずは速く読む癖をつけることに集中してみてください。
■参考文献
「速く読んで覚えられる最強の読書術」