消費税増税への動きが、いよいよ加速している。民主党政権は2月中旬、消費税率の引き上げを柱とした「社会保障と税の一体改革」の大綱を閣議決定し、国会に関連法案を提出する見通しだ。それに対して自民党は、これまでの事前協議において、増税に関わる様々な課題を指摘し続け、合意を拒んできた。与党内からも反対意見が噴出するなか、不退転の決意で増税に臨む野田佳彦首相と、それを牽制する谷垣禎一総裁。与野党の協議は平行線を辿っている。自民党が指摘する消費税増税の「真の課題」とは何か。今後、民主党と足並みを揃える可能性はあるのか。谷垣総裁に本音を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長 原英次郎、撮影/宇佐見利明)
――民主党政権は2月中旬、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げることを柱とした「社会保障と税の一体改革」の大綱を閣議決定しました。そして、今国会において消費税率引き上げの関連法案を提出する見通しです。これまで自民党をはじめとする野党は、消費税に関する与野党の事前協議において、様々な課題を指摘し、慎重な対応を続けてきました。民主党が推し進める消費税の引き上げを、どう評価していますか。また、今後の国会における対応をどのように考えていますか。
公約と違うことをやるなら
民主主義の根幹が揺らぐ
自民党は与党時代から、2010年代半ばに消費税率を10%へ引き上げることが必要であること、増税で得た財源を社会保障3経費(年金、医療、介護)に充てることなどを提言してきました。その意味においては、政府案との大きな違いはありません。また、これまでの党の主張を変えるつもりもありません。
ただし、与党時代に行なった増税において、自民党は色々な失敗をした経験があります。失敗すると、たいてい党の中から崩壊が始まり、最後は自分の足もとが崩れ落ちてくる。だから、増税議論については慎重に手順、段取りを踏んで、国民の理解を得なければ、きちんとした体制がつくれないことを、過去の経験から知っています。今の民主党を見ていると、こうした意識が足りないのでないかと感じます。
特に、民主党のマニフェストについては、政権発足当初から様々な矛盾が指摘されています。一国を運営する政府・与党のマニフェストがどうあるべきかという議論を詰めずして、消費増税の議論だけが進められるのは、やはりおかしい。