三菱重工との合弁会社に日立が「改革派急先鋒」を送り込む真意改革に挑む西野氏。大型ガスタービンの受注が減少する分、保守サービスを増やす必要がある Photo:kyodonews

 日立製作所の4月1日付役員人事が波紋を呼んでいる。その人事とは副社長の西野壽一氏を三菱重工業との火力発電機器合弁会社、三菱日立パワーシステムズ(MHPS)会長として送り込むというものだ。

 火力発電機器業界は世界的な再生可能エネルギーへのシフトで逆風下にあり、最大手の米GEは1万2000人、2位の独シーメンスは6900人を削減する。

 MHPSの業績も振るわない。2014年の設立時は世界一の火力発電機器メーカーになることと、20年の売上高2兆円を目指したが、現状の売上高は約1兆円だ。

 そんな中、MHPSは国内4カ所の工場の役割を見直し、効率化を図るが、日立には、「元三菱重工の長崎工場はなくせる」(日立中堅幹部)との声が根強くある。

 MHPS株式の35%を出資する日立は「MHPSをどう立て直すか三菱重工に問い続けているが満足のいく回答はない」(日立幹部)。

 日立の不満は拠点集約にとどまらない。GEは、顧客である発電事業者にガスタービンの保守や発電を効率化するサービスを提供して囲い込むが、MHPSはこの分野で出遅れている。

 その上、日立には電力需要を予測して発電を効率化する技術で実績があるのに、三菱重工はあくまで自社主導にこだわり、日立とは別のサービスをMHPSで始めた。