もちろん「6ヵ月」はあくまで目安ですから、持病を患っていて働けなくなる可能性が高い方、薬や治療代がかさむ可能性が高い方、親御さんの介護が必要な方は、この緊急費用をもう少し多め(たとえば9ヵ月分、12ヵ月分)に設定しておくといいでしょう。肝心なのは、そのラインを自分なりに定めておくことです。

また、「家の外壁の定期的な塗装」だとか「クルマの買い替え」などの費用に「緊急時のためのプール金」をあてるのは間違いです。なぜなら、これらのコストは発生することがあらかじめわかっているからです。短・中期的に見通しがつく費用は、定期預金に入れるなど、別枠で貯めておくといいでしょう。これは“貯めすぎ”にはカウントされません。

なお、がんばって節約をしてコツコツと預金してきたのに、貯めすぎと言われてしまった方も(ちょっとショックかもしれませんが……)心配は無用です! そのお金は、これからパワフルな資産形成システムをつくっていくときに、必ず役に立ちます。その詳しい方法は書籍『お金が勝手に貯まってしまう 最高の家計』でもご紹介しておきました。

預金だけで「走り切る」のはかなりシンドい……

「なんとなくわかりましたけど、やっぱり預金がいちばん落ち着くんですよね……」

ここまでの話を聞いても、まだそういう気持ちの人のほうが多いはずです。ところで、みなさんは「老後にどれだけのお金が必要か?」を考えたことがありますか? これについては、日本でもいろいろな見解があるようですし、各人のライフスタイルによって左右される部分もあるでしょう。ただ、いくら必要になるとしても、正しい行動を取るためには、次のような考え方を頭に入れておけば十分です。

いま35歳のFさんが、これから65歳までの30年のあいだに、老後資金3000万円を貯めたいとしましょう。このとき、月3万円の預金だけで3000万円をつくろうとすると、どんなことになるでしょうか?(なお、利回りはゼロで計算しています)

3万円×12カ月×30年=1080万円

ご覧のとおり、月3万円の預金では3000万円の目標には遠く及びません。ためしに預金額を月5万円に増やしても、合計額は1800万円……なかなか大変ですね。では、預金だけで3000万円を貯めるには、月々いくらを積み立てていけばいいのか?