――電源三法交付金を受け取っていたからには、当然だという声も聞く。

 それは心外だ。財源もらったからと言ったって、一つの自治体はそんなにないですよ。この40年間で2600億円、福島県を含めて交付金を受け取っている。でも、今回のこの事故で、昔のように住めるようになるためには、何兆円っていうカネがかかる。そもそも、40年間、あんなに危険なものを背負ってきた。

 いつ帰れるのか分からないし、農地も汚染されている。これだけダメージを受けていることも考えてほしい。20年も30年も住めない地域が出てくる。そのうち、ふるさと意識もなくなってしまうだろうし、コミュニティも崩壊してしまう。

――政府は警戒区域と計画的避難区域のうち、年間放射線量が20ミリシーベルト以下で生活インフラが整えば帰還できる「避難指示解除準備区域」、20~50ミリシーベルト未満で除染によって数年内に帰還できる地域を「住居制限区域」、50ミリシーベルト以上で5年以上帰還できない地域を「帰還困難区域」の3つに分ける方針を出した。これに対して町長は異を唱えている。

 単純に放射線量の高い低いだけで分けると、街のコミュニティが崩壊してしまう。実際に、放射線量の高いところ、中間のところ、低いところがある。これを高いところに基準を設けて帰還する計画を練ると、帰還時期が遅れてしまう。だから、国が示したように50ミリシーベルト以下のところを、放射線量によって帰還させるという方針は分かる。しかし、コミュニティーを分断することは避けてもらいたい。集落単位、コミュニティ単位での帰還が大事だ。

 50ミリシーベルト以上の「帰還困難区域」は、国は土地の買い取り方針を示している。しかし、もともと警戒区域のなかに位置していて、線量が低いところは、買い取ってくれるのか。そういう地域の土地所有者は、基本的に買い取ってもらいたいと思っている。隣のあの人は買い取ってもらえて、うちは買い取ってもらえない、というような、集落やコミュニティー間での差が出る。そうなると混乱するし、われわれ町としてもどう対応していいのか、わからない。

 警戒区域として指定された半径20キロメートル圏内は、基本的に同じように買い取ってほしいというのが住民の気持ちだ。国は早くその方針を示してほしい。そのうえで、今後、住民はどうするのか決められる。

県内の原発停止は分かるが
雇用と地域振興の策はどうなるのか

――福島県は県内の原子力発電所をすべて止めることを県議会で決議したが、これに対して立地町長としてはどう考えるか。

 これには大変不快感を持っている。立地自治体であるわれわれに相談なしに決められた。県議会は県民の考え方を反映して決めているのだが、それにしても、意見は聞いてほしかった。県民が廃炉を求めているということ、今後、原子力発電所の新設はムリだろうし、再稼働もあり得ないということは分かるし、私もそうだろうと思っている。ただし、雇用や地域振興の財源をどうするのかということがセットで考えられていない。

――原発無しの町として、やっていけるのか。

 原子力発電所は1万人の雇用創出があった。原発がなくなったときの雇用について、いまは私は説明責任を果たせませんよ。