財政難にあえぐ政府は、東日本大震災からの復興資金捻出を急ぐ必要から、公明党案を軸に郵政民営化改正法案を進め、株式の売却益を見込んでいるようだ。しかし、「公明党案のままでは、郵政事業の改革は進まず、最終的にツケが国民にまわる」と日本郵政公社総裁を務めた生田正治・商船三井特別顧問は警鐘を鳴らす。郵政民営化改正法案の問題点を聞いた(聞き手/週刊ダイヤモンド副編集長 竹田孝洋)

完全民営化の明記なき法案は
旧特定郵便局長の既得権維持に通じる

いくたまさはる/1935年生まれ。57年慶應義塾大学経済学部卒業、三井船舶(現・商船三井)入社。87年大阪商船三井船舶取締役北米部長、94年同代表取締役社長、2000年商船三井会長、経済同友会副代表幹事、03年、日本郵政公社初代総裁就任。07年日本郵政公社総裁退任、10年商船三井最高顧問。
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――震災復興のための資金を捻出する目的で、公明党の提案している郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案(郵政民営化改正法案)に政府及び民主党が賛同する雲行きです。

 日本郵政の株式を売却し、震災復興の財源を捻出したい民主党・公明党の思いには賛成します。しかし、同案はそれまでの国民新党案を下敷きにしているため、民営化の流れを逆行させる要素が含まれ、最終的に経営悪化を招く恐れがあります。

 なぜなら、一部政治家の狙いは、金融2事業(郵便貯金・郵便保険)の利益で、コストのかかる郵便局ネットワークを維持し、旧特定郵便局長の既得権益を守ることにあるからです。

――公明党案では、「政府は、日本郵政の株式の3分の1超を常時、保有するものとし、残余の株式をできる限り早期に処分する」「日本郵政は、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式を早期に、できる限り多く処分する」としていますが、どう評価していますか?