「食べものに含まれる放射性物質については安全のための規制が行われています」
 「規制値を上回った食べものは、お店にならぶことのないよう、国や自治体が対応しています」
 「万が一、規制値を上回った食べものを口にしてしまったからといって、健康への影響が出ることはありません」

 とあります。実際、この冊子が発行されてから、基準値を上回る食品が次々に検出されているのですから、書いてあること自体信憑性がないのですが、一番引っかかるのは、食べてしまっても問題ないというところです。

 これを読んで「おかしいな」と思われる方もいるでしょうが、その一方で、書いてある内容をそのまま信じてしまう人もいると思います。

 そんな中で、「健康への影響が出ることはありません」という言葉は大きな意味を持ちます。厚労省がどのような意図をもって書いたのかは知りませんが、国民の健康問題を司る監督官庁が、「安全」というお墨付きを与えるのは世論的に大きなインパクトがあるからです。

 このように「問題ない」と言い切るためには、それだけの科学的根拠がなければなりません。しかしながら、放射線が体に及ぼす影響に関してはわからないことが数多く存在するのです。

 この「事実」を国民に伝えるのが厚労省の役割であって、なんの根拠もない安全神話を振り回すことではないのです。

 


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政府が定める「安全」は
本当なのか?

厚生労働省内で戦うキャリア技官の木村盛世氏が、福島原発事故による危機管理、厚生行政の不備を明らかにする。問題は原発事故後の放射線被害だけでなく、新型インフルエンザ、口蹄疫、BSE、薬害肝炎、薬害エイズなどと同様に、おそまつな危機管理体制がさらなる危機をつくりだしている。疫学の専門家の視点から、日本の安全を守るための方法も提言。

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