また、最終的に流れ着いた水の量に「しきい値」を設けることで、同じ「哺乳類」という回答でも、「確実に哺乳類」「たぶん哺乳類」のような「人間ぽい」曖昧な回答を導き出せるのがディープラーニングの特徴です。

 今出てきた「しきい値」とは、「結果が変わってしまう境目」のことです。
 仮に、「確実に哺乳類」の水の量の80%をしきい値としたら、100%が85%になっても「確実に哺乳類」ですが、80%が79%とほんのわずか数字が変わるだけでも、「たぶん哺乳類」に結果が変わってしまいます。こうした境目の数値を専門的に「しきい値」と呼びます。

 また、私たちは普段「しきい値」を意識せずに会話をしていますが、大雑把とはいえ、実は「しきい値」に基づいて会話をしているケースが大半です。
「しきい値」が80%の場合、持論に80~100%程度の自信があれば、「絶対に○○だ」となりますし、自信のほどが60%程度なら、「たぶん○○だと思う」と会話を揺らします。

 前述のとおり、この「しきい値」があるからこそ、ディープラーニングで自力学習をしたAIは「人間くさい」、もっと言えば「もはや人とは区別がつかない」ような会話が可能になるのです。

 さて、第4回連載と今回と、2回に分けて解説してきましたが、ディープラーニングに関してはこの程度の理解で十分です。