堀口のこだわりは、データセンターの主要な運用コストを占める冷却の手段として、夏場を除いて屋外の空気を最大限活用する“エコ”な設計だ。

 建物は上の階になればなるほど、外周が膨らんでいく独特の形状をしている。建物の床下から取り込んだ外気で効率よく冷やすための工夫だ。外周部は空気の通り道になっていて、上層階の空間を広くすることで、暖まった空気が抜けやすくなるのだ。

 この空気の通り道にはさまざまなパイプが配置され、人が立ち入ることもできるが、床はあえて穴の開いた鉄製のパネルを敷いただけの状態になっている。こうすることで、空気の通り道の部分は容積率としてカウントされなくなり、サーバーを置くための床面積を広げることができる。

 また、サーバールーム内でも空気の通り道は工夫されており、暖かい空気と冷たい空気の仕切りを、ビニールシートを使って簡単に調整できるようにした。

「空気の通り道を建物全体で生かすためには、設計段階から造り込む必要がある。既存の建物ではなかなか実現できないことを盛り込んだ」(堀口)

 自然の力を活用することで、従来の自社のデータセンターと比べ、エネルギー消費量を最大で約3割削減できたという。

あらゆる情報を統合し
AIを駆使して自動化

 工夫の結晶が詰まった三鷹EASTは4月から稼働し、20年に事業規模1000億円を目指す。

「運用が始まったこれからが本番」と気を引き締める堀口の次なる目標は、サーバーの稼働状況や電気、空調、防災設備など、データセンターに関わるあらゆる情報を統合し、AI(人工知能)を駆使して運用を自動化することだ。

 現時点でもある程度、運用の自動化は進んではいるものの、トラブルへの対応や日常的な点検のため、「それなりの数の専用人員を常時配置している」(堀口)。

 トラブルを事前に予測し、サーバー負荷の分散などの対策をAIが自動的に行ってくれれば、トラブル発生も最小限に抑え込める。万が一のトラブル発生時も、初期対応を自動化できれば、常時配置する人員は少なくて済む。

 また、空調や冷却水などの調整をAIによってより精緻にできれば、環境負荷の低減につながる。

「技術を使って、データセンターという建物を進化させたい」

 堀口の頭脳には、未来のデータセンターの青写真が描かれている。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)

NTTデータの「エコ」なデータセンターに建築士の社員が込めた工夫の結晶写真提供:NTTデータ
【開発メモ】三鷹データセンター
 NTTデータで国内16カ所目となる、最新鋭のデータセンター。東京都心から約17kmという近さに加え、免震構造や72時間連続運転可能な非常用発電機など、災害時の対応力の強化がアピールポイントだ。数年後に予定されている2期工事が終わると、延べ床面積は3万8000平方メートルとなり、約5600台のサーバーラックを収容できる。