一方、退職後に運用資産から定額で引き出すと、積立局面とはまったく逆の現象が起こります。すなわち、安いときにたくさん売り、高いときには少ししか売らない、という売却行動になるわけです。これでは資産が減るスピードが早くなってしまうのも無理がありません。この問題に対するソリューションとして、定率引き出しが挙げられます。定率引き出しでは、直前の残高の一定割合しか引き出しませんので、金額で見ると、資産価格が下がっているときには少ししか引き出さず、上がっているときには多く引き出す、という売却行動になります。市場下落により資産価格が下がったときには少ししか引き出さないため、市場変動の影響を受けづらいと言えるでしょう。ただし、この方法では引き出す金額が変動し、かつ徐々に減っていくという問題が生じます。80歳にもなれば、あまり消費しなくなると思われますが、一方で医療費や介護費などは多くかかることが想定され、人生の後半において引き出せる金額が少なくなってしまうのは大きな問題なのです。

定額と定率の組み合わせ

 これに対する解決方法としては、定額引き出しと定率引き出しの組み合わせが考えられます。定年退職した直後から10年くらいのまだ資産残高が多いときには定率引き出しとすることで、市場変動の影響を受けづらくします。一方、80歳にもなると、長年、資金を引き出してきた結果として資産残高も減ってきているので、定率引き出しだと十分な額が確保できない可能性もあるでしょう。そこで、このタイミングで、ある程度リスクを減らしたうえで、定額引き出しにすることは理にかなっていると考えます。変動性さえ抑えていれば、定額引き出しの弱点である、安いときにたくさん引き出してしまう問題を緩和することができるからです。

 ざっくりとした議論ではありますが、定年退職から80歳くらいまでは定率引き出し、そしてそれ以降、定額引き出しとするのが、望ましいと考えます。