第2回では、長寿化の影響でますます増大する「長生きリスク」を、個人が自身のライフプランでどのように管理していくべきなのか、その基本となる考え方をお話ししました。今回は、長寿化が社会全体、とりわけ公的年金制度に与える影響について考えてみることにします。
年金は100年安心?
日本の公的年金は、基本的には現役世代からその年に集めた保険料を受給者にその年の年金として給付する賦課方式、つまり「社会的仕送り」の仕組みです。しかし、老年人口(65歳以上)が増える半面、生産年齢人口(15~64歳)が減り、年金制度の根幹をなす人口動態のバランスが年々悪化しています。2012年1月に発表された最新の人口推計によると、2011年時点では年金受給者1人を約2.5人の現役世代で支えていますが、バランスの悪化が今後さらに加速し、50歳前後のオヤジ世代が65歳になる2020-2030年頃には受給者1人を約1.7~1.8人で支える厳しい状態が予想されます。しかも、オヤジ世代が受給者になった後も、このバランス悪化は進み、2060年には受給者1人を約1.2人で支えるといった、いわば「肩車時代」に突入する見通しで、このままでは現役世代がいずれ支え切れなくなると思われます。
2004年の年金改革において、当時の自公政権は「100年安心」な制度をつくったと胸を張りましたが、それから100年どころか10年も経たないうちに、年金制度は再び抜本的な改革を迫られています。