◇(3)冷やさない

 慢性の首や肩の症状があるときは、首は冷やしてはいけない。なぜなら、冷やすと血流が悪くなるからだ。アイシングが有効なのは、怪我などで熱を持った急性の炎症がある場合だけだ。

 普段はむしろ温める方が首にはよい。温めたタオルを巻くのは、誰にでもできるかんたんな健康法だ。また、スカーフやマフラーを巻く習慣をつけることも、首を温めるだけでなく支える効果も得られるので、おすすめである。

◇(4)ちょこちょこ動かす

「動物」という漢字が象徴するように、「動かない」でいることは人間にとって不自然なことだ。デスクワークなどの仕事であっても、ちょっと席を立ったり、姿勢を整えたりして動くことを意識するなどして身体を動かすとよい。不良姿勢はとり続けないようにして、なるべく小刻みにするのが大切なのだ。

 3時間仕事をして1時間休むよりも、30分仕事して10秒休む方が効果的である。重要なのは休憩の長さではなく、タイミングだ。筋肉が緊張してから休むのではなく、その前に休むというわけだ。本格的なストレッチをする必要はなく、ちょっと腰を回したり首を動かしたりするなど、「ちょこちょこ」動くだけでいい。

◆正しい姿勢戦略を
◇1秒のエクササイズ

 人間には、「エネルギーをなるべく温存し、安定的に立とう、座ろう、寝よう」という生命体としての戦略がある。それを「姿勢戦略」と呼ぶ。が、立ったり座ったりしているときに姿勢が崩れていると、身体に負担をかける負の姿勢戦略がしみついてしまう。

 正しい姿勢戦略を身につけるためには、体軸を整える意識を習慣化することが必要だ。一日のどこかの時間には、必ず体軸を整えるエクササイズをすると決めてしまうといい。

 エクササイズのポイントは、おへその上をクッと引っ込ませること。へそを引っ込ませることによって胸が開き、首が起き、重力に対して安定した位置に体軸を戻す感覚を得ることができる。「ニュートラルなポジションに体軸を戻す」イメージだ。慣れてくると1秒でできるようになる。たった1秒のエクササイズでもじゅうぶん効果が出る。

◇睡眠と姿勢の関係

 「よい睡眠」の定義は研究者によって様々あるが、著者は「身体が楽に寝ている」状態だと定義している。つまり、身体の組織のどこにも負担をかけていない状態のことだ。そのためには、一人ひとりの体格や体形に合わせた枕やベッドなどの睡眠環境づくりが必要だ。なかでも、枕と体軸には深い関係がある。なぜなら、枕は、睡眠時の首姿勢、ひいては全身の姿勢を決定する重要なアイテムだからである。

 枕を選ぶ際は、寝返りが打ちやすいかどうかを考慮するといい。重要なのは枕の「高さ」と「硬さ」だ。枕の高さが5ミリ単位違うだけでも睡眠の質は変わるので、本当ならば、自分に合った枕を手作りするのが好ましい。頭を乗せても一晩中ぐらぐらしない安定した硬さも必要だ。こうした理由から、低反発ウレタンやもみ殻素材の枕も適切とは言えない。