本稿は、出張先のロンドンで執筆している。出張では、「日本の消費増税は実現するか?」をテーマに、ケンブリッジ大学アジア・中東研究所で特別講義、大和日英基金で講演を行った。
これは、昨年9月のロンドンフィールドワーク(第19回、第20回を参照のこと)の際、立命館ロンドン事務所・坂本純子氏から、立命館の宣伝・留学生獲得策の一環としての「立命館大学の研究者によるロンドンでの研究発表」という構想を聞いたことに始まる。この構想に「私でよければいつでも引き受ける」と応じたことで、このプロジェクトは動き始めた。
11月、私は再度ロンドンに出張し、坂本氏から大和日英基金を紹介された。大和日英基金は、1988年設立され、日英関係の発展の資する活動を対象にした奨学金・助成金を提供し、英国での日本に対する理解を広める各種イベントを開催してきた。
大和日英基金の話では、日本のすべての大学に対して、大学教員による講演を依頼したという。ところが、日本からの返事はゼロで、大変に失望したとのことだった。私は「依頼状が届いていれば、即答で依頼を受けましたよ」と答え、その場で3月に日本政治について講演することを決めた。
「小さく見える」英国という舞台で
プレゼンスを行うことの「大きな」意義
英国で日本政治をプレゼンスすることは、個人的にも、立命館にも、そして日本にも、大きな意義がある。英国は、日本からすれば「小さな国」に見えるかもしれない。しかし、英国は英語が世界標準語であり、かつて覇権国として世界の枠組み・制度を作り上げたノウハウや知識を蓄積し、英連邦(旧大英帝国植民地)などの世界的な人脈ネットワークを持つ。そして、「グローバル・ハブ国家」として、金融、法律、会計、コンサルタントなどの高度サービスの中心だ(第19回を参照のこと)。英国でのプレゼンスは、「小さな」ブリテン島の中だけにとどまらない。世界的な人脈・政治・経済・ビジネスのネットワークを通じて、全世界に広がっていくものなのだ。