丁薛祥(Ding Xuexiang)。

 第19回党大会で中央政治局委員(トップ25)に昇格し、かつ日本の官房長官に相当する極めて重要なポストである中央弁公庁主任に就任した(それまでは副主任)。丁は右手で金正恩と約3秒間握手を交わした。王が駅のホームで金正恩を出迎える際に自ら意図的に紹介したのは、丁薛祥一人である。

「人事」という観点から
筆者が注目していた「席順」

 人民大会堂で行われた中朝首脳会談。習近平第2次政権のフォーメーションを占うという意味での「人事」という観点から、筆者は誰が、どういう席順で習近平を囲み、金正恩率いる北朝鮮側と向き合うかに注目していた。

 中国側は計8人(北朝鮮側は5人)。習近平から見て左に「王滬寧→楊潔チ(チの字は竹かんむりに“褫”のつくり)・中央政治局委員兼中央外務工作委員会主任→王毅・国務委員兼外交部長」、右に「通訳→丁薛祥→黄坤明・中央政治局委員兼中央宣伝部長→宋濤・中央対外連絡部長」である。

 通訳は抜きにして、席順に反映される他の7人の序列を並べると「習近平→王滬寧→丁薛祥→楊潔チ→黄坤明→王毅→宋濤」となる。会談前に同会堂にて習近平夫妻が金正恩夫妻への歓迎式典を主催し、その後会談に入る前に自ら同僚たちを紹介したが、その際の順番がこの序列であった。

 王滬寧は政治局常務委員、王毅は国務委員、宋濤は部長ということでその序列的ポジションは明白であるが、政治局における非常務委員(18人)のなかにも序列はある。今回会談に出席した3人のなかでは「丁→楊→黄」という順番であったということだ。中国共産党は並び方や座り順などをその政治的序列や役職に基づいて厳格に手配する。偶然そうなったなどということは原則あり得ない。

楊潔チは外交プロのトップとして
習近平の“党国外交”を支えていく

 全人代を経た人事を扱った前々回コラム(習近平第2次政権の注目新人事、王岐山・劉鶴・楊潔チ・王毅・胡春華)においてその役割いかんに言及した楊潔チであるが、中央外事工作委員会主任という肩書をもって、党における外交プロフェッショナルのトップとしてこれからの5年間、習近平の“党国外交”を支えていくものと思われる。