学習指導要領は教育の最低基準
絶対的なルールブックではない

 いずれにしても、子ども自身の判断・選択を下支えする知識を授けることが、教育者の役割のはず。現実社会ではネット掲示板やナレッジコミュニティなどから、真偽が不確かな知識に子どもが簡単にアクセスできる。だからこそ、大人が「正確な性知識」を授け、「信頼できる大人・相談窓口へのアクセス」を促すことが求められるはずだ。

 なお、足立区教育委員会(以下、区教委)はこの古賀都議の指摘について、「10代の望まぬ妊娠や出産を防ぎ、貧困の連鎖を断ち切るためにも、授業は地域の実態に即して行われ、生徒と保護者のニーズに合ったものだ」(朝日新聞デジタル)と回答している。

「今回、実施された性教育の実践は、教員が目の前の子どもたちの生活実態に誠実に向き合っているからこそなされたものです。卒業後、子どもたちに幸せな人生を送ってほしいという教員の願いが背景にあります。それぞれの地域、学校の実態に即した教育課程が編成されることは法的にも認められていることです。そもそも、党派性のある政治家が、特定の学校、教員を名指してその教育内容を批判するというのは、教育への政治的介入そのものであって許されることではありません」(田代教授)

 しかし、古賀都議の指摘を受けて、都教委は区教委を指導する方針だ。東京都教育庁指導部の担当者は、以下のように回答した。

「授業内容の確認については、具体的にどのような授業が行われたのか把握するために、学習指導案等の提供を依頼しました。課題のある授業かどうかについては、文部科学省による『学習指導要領』ならびに『保健教育の手引き』、都教育委員会による『性教育の手引』等に基づいて整理します」

 公的に作成された学習指導要領や手引きは、もちろん尊重するべき規範である。ただし学習指導要領は「最低基準」、手引きは「基本的な考え方を示すもの」であり、記載されている目標や内容を超えて指導することは可能だ。つまり“絶対的なルールブックではない”ことは、強調しておきたい。