そう感じてもらうには、こちらがただずっと受け身で聞いているだけではダメなのだ。相手に意見を「気持ちよく言わせる」ため、イニシアチブを持って、こちらが半分くらいはしゃべるぐらいの勢いで相手に質問をする。前回述べた、上司に対するリアクション方法などで工夫をして、「言いやすい」状況をつくるのもよいだろう。

 相手の一言一言に耳を傾けて「聞く」ことももちろん必要だ。しかしそれ以上に大切なのは、「聞いてくれている」「耳を傾けようとしてくれている」と感じさせることなのだ。そんな先輩やリーダーの姿勢が、相手を安心させ、素直な言葉を引き出すきっかけを創るのである。
 
 たしかに、新入社員にとっては自分の拙い意見を真摯に訊いてもらえたら、当事者意識が芽生え、仕事に対するやる気も大きく変わってくるだろう。入社3年以内の若手社員は、できれば第一線で活躍する仕事を優先させたいかもしれないが、「部下をやる気にさせること」も、大事な仕事であることを忘れないでほしい。

「鈍感」は、リーダーの最大の敵

「人生最大の敵、それは“鈍感”である。」これは、プロ野球解説者の野村克也氏が、ヤクルト監督時代にインタビューで言った言葉だ。さらに野村氏によると、コミュニケーション力でいちばん大切なことは「受信力」だという。

 ここでいう「受信力」とは、「相手を感じる力」、「相手の信号をキャッチする力」、「相手の変化に気づく力」である。そして、この「受信力」こそが、リーダーにとって欠かせない能力なのだ。

 リーダーというと自分から発信して皆を引っ張っていくようなイメージがあるかもしれない。しかし、前章で部下の話を引き出す姿勢について述べたように、優れたリーダーとは、高い能力を持っていることではなく、相手の能力を引き出せる人のことをいうのだ。