「明るく快活な性格で、むしろ父親よりも小売りのトップに向いている」(小売り大手幹部)ともいわれ、やがては元也氏の後継となるであろう尚也氏を店長に送り込むほど、元也氏は実は、オーガニック食品スーパーの展開に強い思い入れを持っている。

 決算や経営方針に関する記者会見後はいつも、報道陣による囲み取材を拒否し、逃げるように会場を去る元也氏。だがこの日は、フランスから駆けつけたビオセボン本社のティエリー・ショラーキCEOと共にこの店のオープニングセレモニーに臨んだ後、店舗をひと通り回ってから、報道陣に対して饒舌に語り続けた。

「農業生産者のスタートアップ企業や、経理など彼らの事業をサポートするスタートアップ企業も増えているが、まだ日本は欧米と比べて遅れている。変化が見えるのは日本酒など特定の世界だけだ」

「日本産の商品だけでオーガニックをそろえようとすると、そろわない。それは日本のメーカーの怠慢なんだ」

「一番の問題は、(日本産が)安全だと思ってんだもん。政府やマスコミの皆さんがグルになって、日本の消費者をだましてるわけだ。国産だから安全だというのは、嘘ばっかり」

 表現は過激だが、今や中国でも食品の安全確保の技術や手法が改善されている中で、日本産=安全で高品質という相対的優位性は薄らぎつつある。にもかかわらず、日本の多くの農業生産者やメーカーにはその危機意識が乏しいから、小売りの雄であるイオンが自らオーガニック食品の展開を手掛けざるを得ない――。元也氏の言葉を要約すれば、このようなことになるのだろう。

いかに低価格は維持しつつ
品質をアピールできるかが課題

 もっとも「今後、ビオセボンがイオングループの成長をけん引することになるのか」と問われると「それは、知らん。(質問をした記者自身が)笑いながら聞いているんだから」と自らも笑いながら指摘し「その程度だ」と答えた。