預金額に応じて手数料を取ることができるなら、例えば自宅を売り払って被後見人を施設に入れようとするかもしれないし、生命保険などを解約させて預金額を増やそうとするかもしれない。もちろん、生活費以外の支出も抑えたいにちがいない。

 そもそも、後見の作業内容に対して手数料が高すぎるし、被後見人の預金残高に応じて手数料が設定されるのだとすると、この仕組みは、被後見人の幸福追求に対して逆行しやすい悪いインセンティブを持っている。加えて言うならば、被後見人を献身的に介護する家族にとっては、後見人が家族の財産を取りあげた上に、手数料まで貪り取る悪魔のような存在だと感じられるだろう。

後見人から財産を守る方法

 読者ご本人、あるいは読者が介護されているご家族に対して、親族や自治体が後見の申し立てを行う可能性があることは前述の通りだ。

 兄妹など家族間でも、親の財産の処分や家族の暮らし方などをめぐって対立が生じる場合があるだろうし、自治体が何らかの情報を下に後見の申し立てを行う可能性がないとはいえない。

 筆者が、前掲書を読む限り、例えば孤独な高齢者が、意に染まない後見を回避できる完璧な手段があるようには思えなかった。

 しかし、次のようなケースでは、愚かな家庭裁判所や悪徳後見人の魔の手から逃れることができそうだった。

 例えば、高齢の親がいて、仲の良い信頼し合っている子どもが2人いるとする。この場合、子どもの一方が老親の任意後見人となって、もう一方の子ども(兄弟)の口座に親の財産を移すと、法定後見人が介入してくるリスクが小さくなる。このケースでは、後見人となった子どもは、自分の口座に親の資金を移すと横領を疑われてしまう可能性があるので、兄弟の管理下に親の財産を置くのだ。

 しかし、子どもが任意後見人になっても安心はできない。親の預金残高が1000万円(地域によっては500万円)を超えると、家裁が後見人に対して弁護士・司法書士などの監督人を付けようとするケースがあり(親の財産の横領を防ぐためという趣旨らしい)、そうなると自動的に手数料を取られることになる。