ビジネスマンや経営者に愛される戦略のバイブルといえば、孫子の『兵法』。では、健康法のバイブルと言えば――?それは、江戸時代の儒学者、貝原益軒が書いた『養生訓』ではないだろうか。東洋医学をベースに書かれた同書は、現代人にとっても役立つハウツー本だという。そこで、中年の男性が『養生訓』を参考にすべき理由を中医学者に聞いた。(清談社 松原麻依)
40代以降の“男性更年期”対策に
貝原益軒の『養生訓』が役立つ!
書店にいけば、山積みになって売られている健康本の数々。毎年のように、様々な健康法がはやっては廃れていくが、それだけ多くの人が健康面に不安を持っているということだろう。特に40代以降になると、20~30代の時と比べてエネルギーが湧いてこないという人は多いはずだ。
「40代は中医学の見地からみても、“体の曲がり角”といえます」と、話すのは中医学者で『男の養生訓――男性更年期をのりきる知恵』の著者である松江一彦氏だ。
「40歳をすぎると、寝ても疲れが取れない、そもそも寝付きが悪い、性的機能も衰えるなど、体の変化を感じる人も増えてきます。精神面でも、神経質になって当たり散らしてしまう、あるいは男としてのピークがすぎてしまったと思いふさぎ込んでしまう、なんてこともあるでしょう。これは“男性更年期”の症状ですが、実は紀元前から中国の医学書では既に予防法が説かれていたのです」
そうした中医学の見地から、日本人に向けた不調を予防するための生活全般における指南書が、貝原益軒による『養生訓』である。
「江戸時代初期の儒学者であり、本草学者(当時の薬学者)であった貝原益軒が、中医学から得た膨大な知識をベースに書いたのが『養生訓』。学のない人にもわかりやすいよう、平易な文章で書かれています」