(ネット債務残高/GDP)の変化分
=-PB/GDP-(成長率-金利)×(前期のネット債務残高/GDP)

 ネット債務残高対GDP比率の変化(減少)は、プライマリーバランス対GDP比率と経済成長率から金利を引いたものに、直前のネット債務残高対GDP比率を乗じたものの和に等しい。

 これは高校数学程度の式なので、ぜひとも挑戦して数式の明快さを自分の頭で堪能してほしい。

 この関係は経済政策を考える上でも、とても参考になる。具体的な数字を入れてみよう。

 簡略化するために、今のネット債務残高対GDP比率を100%としよう。来年の債務残高対GDP比率がどうなっているかは、今年のプライマリーバランス対GDP比率、名目経済成長率、名目金利で決まる。

 例えば、プライマリーバランスが赤字で対GDP比率が▲5%、名目経済成長率が3%、名目金利が0%だと、来年の債務残高対GDP比率は、-5+(3-0)×2=1となるので、1%ポイント減少して、99%になる。

 こんなに簡単な関係式だが、筆者の知る限り日本語の財政学の教科書には出てこない。

 この関係式で考えると、経済成長率と金利は長期的にはほぼ等しくなるので、ネット債務残高対GDP比率の変化(減少)はプライマリーバランス対GDP比率になる。

 つまりプライマリーバランスの動きは長期的にはネット債務残高対GDP比率の動きとパラレルになる。

 もともと、財政運営のためにはネット債務残高対GDP比率を大きくしない(発散させない)という目標があり、そのためにプライマリーバランスを均衡させることが求められていたというべきだ。

グロス債務残高にこだわると
“過少投資”になり有害

 こうしたことを考えると、今回の骨太の方針や新財政健全化計画の原案は、情けないものだ。