メタボ健診の「笑えない」側面
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古今東西の映画を通じて、社会保障制度の根底にある考え方や、課題などを論じていく連載「映画を見れば社会保障が丸わかり!」。第11回はダイエットを巡る人間模様を描いた2013年製作の映画『体脂肪計タニタの社員食堂』に着目し、ここで描かれているダイエットと、国が40歳以上の人に実施している通称「メタボ健診」を対比させることで、メタボ健診の「笑えない」側面を明らかにします。(ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原 岳)

「健康」の概念は
意外に奥深いもの

 多くの職場や学校では今頃から健診を実施するようです。世の中は「健康ブーム」ですし、健診は「健康に良いこと」として推奨されています。

 実際、政府の政策を見ても、健診を推奨したり、従業員や住民を健康にする会社・自治体を支援したりする動きが広がっています。それ自体は素晴らしいことですし、不老不死の薬を求めて水銀まで飲んだとされる秦の始皇帝以来、長寿を求める人間の本性はあまり変わらないのかもしれません。

 しかし、あまのじゃくな私は、常に余計なことを考えてしまいます。こうした政策は一体、誰のために行われているのか。「健康」な状態とは一体、何なのか。それは誰のための健康なのか。健康とは単に「病気がない状態」なのか。年を重ねると人は心身に不具合を感じるようになるが、そうなると高齢者は全て「不健康」なのか…。