また投資案件のEXIT(売却等)は、SBGにとってどんなに不都合であっても、ちゃんと投資家にとって最も有利な先に売却することを許容するのか。ファンドの投資家をないがしろにすれば善管注意義務違反で訴訟の対象となり、自社の株主をないがしろにすれば株主代表訴訟の対象になる。典型的な利益相反構造である。

 SVFはSBGによる実質支配なので、今期からSBGに連結するという意思決定自体は妥当なのだが、そうすると、ファンド運営を株主利益のためにしなければならなくなり、投資家の利益には沿わない可能性がある。

 SBGの財務諸表には、SVFの多彩な投資先1社1社の財務内容が連結されることになる。

 SBGの財務リスクは、SVFの存在によって、もはや複雑すぎて誰にもわからなくなっているのではないか。2018年3月期のSBGの営業利益は前年比で約2780億円増加した。しかし、その内訳を見ると、SVFの株式評価益が3460億円も計上されている。

 もっとも、これはあくまでも表面上の「評価益」であって、実現益ではない。さらに、SVFは、ファンドである以上、その評価損益は日々変動するものだ。前期には評価益だけを計上しているが、当然損失も発生し得る。仮に10兆7000億円のファンドがすべて投資されたとすると、SVFの損益変動がSBGの財務諸表に与える影響は極めて巨額になる。

 これらの状況はCGCが定める株主保護に適合しているのだろうか。

 さが美のケースでは、NHCは東証に制裁措置の発動を要請したが、東証からは未だになんらの回答もない。SBGとSBの親子上場についても、東証は慎重に審査すべきだと考える。そしてSCの対象外である個人株主も、こうした状況に対してしっかりと声を上げるべきであろう。

(ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長 安東泰志)