今年になって、冷蔵庫や太陽光パネル、鉄鋼やアルミなどに対して大規模な関税措置に動いたのは、残された製造基盤の維持のためである。同時に、中国産品に高関税を掛ける通商法301条の発動を検討したのも、知的財産権の保護が目的だった。そして、これは中国が主な対象国であるが、当然、日本を含めた他国も例外ではない。

 そこで、日本はどう出るべきか。すでに日本の生産構造は、直接的な消費者向けビジネス(BtoC)から、キーパーツや特殊材料などを業者に供給する業販型ビジネス(BtoB)に切り替えられており、さらに企業対行政間取引(BtoG)へと拡大している。製造機械や検査機器、調整用機械などは、日本の独壇場的な製品を海外の企業に大量供給している。これらは、完成品を日本から送る必要がない。

 中国の賃金高騰やグローバル化の流れを受け、すでにいくつかの日本企業は消費地に近い地域に、最終組み立て工場の移転を進めている。これを一気に加速するのが望ましい。アメリカで売るものはアメリカで作り、現地の労働者を雇用する。アメリカに法人税を払う半面、利益をたっぷり日本に還元すればよい。積極的なアメリカ展開により、日米間でWIN‐WINの関係を築くことができる。この関係が強まれば、自ずとアメリカから日本への風当たりも弱まるだろう。

 ちなみに、アメリカのペンス副大統領は、かつてラストベルトの一角を占めるインディアナ州の下院議員を12年間(在任期間2001年1月~13年1月)務め、09年~10年にトヨタ車が相次いでリコールの対象となった「レクサスやタンドラの問題」からトヨタを救った立役者だ。その後インディアナ州知事の在任中(在任期間13年1月~17年1月)には、何度も来日し、日本企業の誘致に積極的に動いた。これと同様のことを他の産業も取り組めばいいのだ。

 一方、日本は少子高齢化で生産人口が減少している。この労働力不足を新興国で補うのではなく、アメリカなどの先進国で補うのである。そうすれば、知的財産権も守られ、アメリカの保護の対象にもなりうる。

勝ちパターン(2)中国投資を
最低限に抑えよ

 5月10日、米共和党のマルコ・ルビオ上院議員は、中国への技術移転を禁止する法案を議会に提出した。中国が合弁事業などを通じてアメリカの知的財産の侵害を防止する目的がある。

 こうしたアメリカの動きが強まれば、COCOM(対共産圏輸出統制委員会)規制のような法律を同盟国や関係国にまで義務づける可能性がある。COCOM規制とは、冷戦期に自由主義陣営を中心に構成された共産圏諸国への軍事技術・戦略物資の輸出規制を目的に行われた規制のことだ(旧ソ連が崩壊して意義が薄れたために1994年3月に解散)。こうした厳しい規制が一気に進むことはないだろうが、それが段階的に進められる可能性は高いといえる。そしてそのメインターゲットはいうまでもなく、中国である。