改正生活保護法に対し国際社会が懸念を表明、日本は低所得者にどう歩み寄る?
成立した改正生活保護法に対し、国際社会が懸念を表明している。日本政府は低所得層に歩み寄るのか(写真はイメージです)

生活保護法再改正の「ワナとムチ」
国際社会も警鐘を鳴らす内容に

 2018年6月1日、生活保護法再改正が参院本会議で可決され、成立した。私から見れば、「アメとムチ」ならぬ「ワナとムチ」のような法律だ。「大学進学支援」という極めて少量の「アメ」が薄く引き延ばされて表面を覆っているかのように見えるが、24金で薄くコーティングした鉛の球を「24金の球」と呼ぶ人はいないだろう。

 直前の5月24日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)はプレスリリースを発表し、日本政府に対話を申し入れた。プレスリリースは、極度の貧困と人権の特別報告者、対外債務と人権の独立専門家、障害者の権利の特別報告者、高齢者の人権の独立専門家の連名となっており、国際社会に重く受け止められていることがわかる。しかし、日本政府は応答していない。外務省に送られたプレスリリースは、現在のところ完全に無視された格好となっている。

 今回は、この特別報告者プレスリリースを通じて、日本の生活保護が国際社会の中でどのような役割を担っているのかを概観したい。

 なお、国連特別報告者は国連そのものではないが、国連の看板を背負って調査などの活動を行う専門家たち、「ほぼ国連」だ。意見の相違もあれば、一時的な勘違いもあるが、最初から正解を持っているわけではない。むろん、何らかの正解を押し付けるために活動しているわけでもない。活動目的を一言でまとめれば、「いつでもどこでも誰にでも、人権が守られているように」ということだ。人権はその個人にとっても重要だが、さらに世界規模の重要性を持っている。

 社会保障、特に公的扶助は、世界の発展と安定に対して非常に重要な役割を担っており、先進国には牽引が期待される。難民問題は戦乱や紛争から生まれる。戦乱や紛争は社会の不安定さから生まれる。

 社会を不安定にする大きな要因の1つは、貧困と格差だ。戦乱や紛争によって命からがら逃げ出すしかなかった人々は、近隣諸国の品性の問題として、待ったなしで救済しなくてはならない。しかし、「なんでウチがやらなきゃいけないんだ」というホンネの不平不満は避けられない。