聞くべきことは全て聞いておこうと食い下がる。

「あぁ、グルコサミンもコンドロイチンもCMで盛んに宣伝していますが、意味ないですね。2010年には、『単独でも併用でも効果はない』という論文も発表されています。この2つが軟骨の成分であるのは事実ですが、サプリメントとして摂取しても軟骨は再生しません。だって、もともと糖やアミノ酸からできていますからね、体内に入ると分解されてしまいます。それが、再びグルコサミンやコンドロイチンに再合成されて、膝の軟骨になるなんて考えられないでしょ。

 それに、変形性膝関節症は『軟骨がすり減るから痛みが出る』なんていう単純な原因ではないんですよ。同じくらい減っていても、痛みが出る人もいれば出ない人もいます。ストレスや生活習慣などさまざまな要因が絡んでいるからです。

 ですからまずは、手術よりもサプリよりも、運動と身体の使い方を正すことです」

人生100年時代
自分の骨で歩かねば!

 (『○△○△○△◯△グルコサミン』って歌もあるけど、本当は効かないんだ……)

 大小さまざまなメーカーが出しているサプリメントが、まさか“効果がない”ものだったとは驚きだった。人工関節も、『一生もの』ではないという。今すぐにでも手術しなければ死んでしまうような病気だったら、たとえ15~20年しか持たない代替品でも、手術した方がいいに決まっている。しかし、足はそうではない。

 (人工関節にするなら、80歳になってからかしら。あと30年以上もある。あぁ、この痛み、どうしたらいいのかしら)

 暗澹たる気持ちになった。とはいえ、切らずに治せるなら、それに越したことはない。

「頑張って運動しよう。自分の足、自分の骨で、一生歩けるようにならないとね。だって私、100歳まで生きるんだから」

 背筋を伸ばし、駅への道を歩き出す敦子さんだった。

(医療ジャーナリスト 木原洋美)